春を待つ心すべての生き物に 伊東法子
流れ星リュックサックの枕かな 松藤素子
天高しダムに小さく人のゐて 岸田祐子
こぼれてもこぼれてもなほ濃紅梅 栗原ゆみ
たくましき根の力より生ふ若葉 花川和久
踊子の幼なじみと分かるまで 河野ひろみ
名山の紅葉の中に居る慕情 杉森大介
しめやかな日本晴や憂国忌 菅谷 糸
ままごとの一枚の葉に春を盛る 椋 麻里子
手のひらにのるほどの靴春を待つ 涌羅由美
弐
野分会の俳句
噴水の上に太陽乗つてをり
青空の柚子を剥がして籠の中
太陽の千の漣てふ代田
若水の中の太陽飲み干しぬ
杉森大介
京都府生
元 学童保育指導員・放課後英語教師
ホトトギス'09~野分会'22~
趣味: 漢字/選句/登竜門・各新聞俳壇投句
秋蝶の影掠めたる神の道
晴れきつてじよんから節や文化の日
冬晴の果てまで雲の糸曳いて
餅配祖母の重箱のみぞ知る
菅谷 糸
1977年東京都生まれ。
2018年より日本伝統俳句協会の卯浪俳句教室にて俳句を学び始める。
2022年『ホトトギス』野分会に入会。
秋高し大縄跳びにまた一人
ふゆごもり紙の動物園の中
紙魚の喰ふ兄と私のぐりとぐら
記念日の薔薇一本の重さかな
椋 麻里子
1983年12月28日生 鳥取県
ホトトギス投句歴6年。
第32回日本伝統俳句協会賞新人賞受賞。好きなことは「食」。作るのも食べるのも好き。
はらはらと散りひらひらと蝶となり
白き歯の見えて勝利の日焼顔
島の子とひと目でわかる泳ぎかな
リスト弾く第一音にある淑気
涌羅由美
神戸市在住。ライフワークは、俳句と音楽そしてスポーツ。豊かな自然の恵みに感謝しながら、音楽を奏でるように詩情豊かな句を詠んでいきたいです。句集『音色』
散り際のもつとも赤き冬薔薇
紅白の梅の十三回忌かな
花冷の土の香りの雨となる
さみだるる自動販売機の光
岸田祐子
第20回日本伝統俳句協会新人賞
2009年よりホトトギスに投句
ビールとダムが好き。
タロットカードを使って俳句を占っています。
一億の悲しみを背に山笑ふ
皐月富士より賜りし水に生く
存在の軽さ重さや蚯蚓鳴く
関東の地平の果てに鳥帰る
栗原ゆみ
静岡県生まれ。幼少期、祖母とともに俳句に親しむ。2010年よりホトトギスに投句を始める。
二児の保護者。
七十年瞬く戦後星流る
親は親子は子の役目煤払
咲く力咲かせる思ひ寒牡丹
きのふにはなき風のおと秋立ちぬ
花川和久
1966年生まれ。岐阜市在住。旅行社とブティックを営んでいます。仕事上、旅行中の景色を句に詠むことが多く、また、お客様との話題の中で俳句の魅力を伝えるよう心掛けています。
気負はずに文月の空透きとほる
知恵の輪に思考絡まり蝉時雨
本当の幸せ悟る冬のばら
鮮やかなアスパラガスの日曜日
河野ひろみ
2002年よりホトトギス投句。スイーツ大好き。King Gnu、back number、吉井和哉に夢中。元バンギャ。